ホーム - 合唱指揮者が語る曲づくりの秘密(千人インタビュー)



 ・〜・〜 目 次 〜・〜・
 はじめに
1.『千人』の合唱練習
2.『千人』の難所
3.『千人』をもっと楽しむために
4.今回の『千人』に対する思い
 <千人解説>
5.ゲーテ『ファウスト』の宇宙観の音楽化〜作曲の経緯
6.交響曲第8番の構成
7.ファウストの救済
8.マーラー畢生の傑作




合唱指揮者が語る曲づくりの秘密
   =4.今回の『千人』に対する思い=


 O:特に今回の取り組みに対してどのように思ってらっしゃいますか?
 G:繰り返しになりますが、今回はホールやプロのオーケストラの主催する公演ではないということが重要です。最初はアマチュアでは無理だと思っていた合唱団も歌えるようになってきました。オーケストラのブルーメン・フィルハーモニーもアマチュアですが、皆さん仕事を持ちながら日々の練習が大切な楽器を演奏し、組織の運営も果たすということをやってこられています。合唱団は5つの会場で7ヶ月間毎週練習しましたので延べ100回以上になります。児童合唱も郡山からの参加も含めて4つが集まりました。これらを支える合唱指導者や練習ピアニストの指導者陣に加えて多くの運営スタッフが長い間準備をしてきました。演奏時間は90分ほどですが、これら関係者の注いだ努力とエネルギーが演奏に凝縮されてきっと素晴らしい音楽的な感動をお伝えできることと確信しています。個人的には病気をした後、余計な力みがなくなってもう一度ゼロから楽譜を見直しました。そうすると難しさを感じるよりも、どう指導すべきかを考えていたら楽しい時間になっていましたね。
 O:本公演の主催のNPO法人おんがくの共同作業場は設立15周年となりました。
 G:『千人』に限らずひとつ音楽作品を演奏するために、多くの関係者がそれぞれがおかれた状況の中でそれぞれの想いで責任を果たしていく共同作業には、単に一緒にやることよりももっと強いものが働いていると思います。そのためのプラットホームを提供するのがNPO法人おんがくの共同作業場の仕事で、15年かけて定着してきたのだと思います。『千人』という大曲をプロデュースしたという経験を今後に生かしていきたいと思いますし、これがこのような活動の先駆となって広まってほしいと思います。1960年代の冷戦の最中に危機が叫ばれたとき、偉大なチェリストであるカザルスが国連で「全世界でベートーヴェンの第九を歌おう」と提言したように、この作品も21世紀の新たな危機の中で平和を願う人々が力を合わせて演奏できる作品だと思います。世界中の都市で演奏できるようになることを願っています。

後半は岡田氏による千人の解説を掲載いたします。

↑top / →千人解説:ゲーテ『ファウスト』の宇宙観の音楽化

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