≪こどもと大人のための交響歌〜ゆめ〜≫(NPOニュースの記事から)
<こどもと大人をオーケストラと共に同じステージに乗せる>という、雄大な発想により、慈恩玲乃が編曲したNPO「おんがくの共同作業場」の委嘱作品で、2005年12月25日に東京荒川少年少女合唱隊の定期公演で初演されました。
どの世代の方も7曲の内1曲は聴きおぼえがあるのではないでしょうか・・・
@ ジムノペティ A花の街 B風をあつめて Cともしびを高くかかげて
Dちいさな木の実 EAve Maria F怪獣のバラード
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クリスマスプレゼント「“ゆめ”〜こどもと大人のための交響歌〜」の初演を聴いて
7つの原曲がどれも印象深く編曲され、オラトリオ・シンフォニカJAPANの誠実な演奏を得て、美しい歌声がホールに響き渡りました。
1曲目は「ジム ノペディ」。夢への階段を一歩ずつ昇っていくような印象を受けます。ハミングで歌われるこの不思議な美しさに満ちた曲を聴き、忙しい現実が遠のいていくような気がしました。
続いて扉が開かれると、そこは「花の街」。私が子供の頃、母がPTAコーラスで歌っていたのを思い出しました。いい曲はいつまでも歌い継がれていくのですね。 “七色の谷を越え、美しい海を見て”たどり着いたのは街はずれの路地。
「風をあつめて」です。軽快なテンポにシンコペーションが効果的なお洒落な曲です。飄々とした青年が口笛でもふいていそうな感じで、体が自然にスウィングしてくるようです。歌う側は大変でしょうけど。
歌詞が心に響く「ともしびを高くかかげて」では、“空へ灯をかかげて みんなここだよとさけぼう“のところで胸がいっぱいになってしまいました。もうこの辺になると会場は演奏者とすっかり一体化しています。
こどもだけで歌われる「小さな木の実」。歌っているこども達より聴いている大人の方が切なくなるのは自分自身を投影するからでしょうか。後でソプラノの小渡恵利子さんがおっしゃるには、「次のアヴェマリアのために雰囲気を作っているのに、先生が鼻ぐずぐずいわせててね・・・。」(こんなこと書いて大丈夫かしら。)
そして、カッチーニの「アヴェマリア」。美しいソプラノソロで始まるこの曲の歌詞は“アヴェマリア”だけです。4拍子で刻まれる鼓動、後半押さえ切れない感情が6声で波のように押し寄せてきました。名曲です。(バレエのソロも加わり、まるで舞台芸術のよう。)
終曲はガラッと雰囲気を変えて、「怪獣のバラード」です。歯切れのよい演奏で音楽が前へ前へと進んでいきます。この曲だけを歌うために舞台でずっと待っていた小さな子ども達の誇らしげな顔といったら!
新しい世界へ、夢の実現に向かって曲は終わりを告げます。
「ゆめ」−大人もこどももプロもアマも一緒になって創りあげたこの曲は、今年中にあと3回の演奏が予定されているようです。ますます磨きがかけられ、私達に元気を与えてくれることでしょう。
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