東京オラトリオ研究会 コンサート情報 1997/10/26

コンサート情報

1997/10/26(Sun)「メンデルスゾーン エリアス」

場所 東京芸術劇場大ホール
開演 15:00
指揮 郡司博
独唱 マルタ・シェフェル/坂本 朱/ジョン・デヴィッド・デハーン/河野克典
演奏 東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団
入場料 S:\5,000/A:\4,000/自由:\3,000


[メンデルスゾーンについて] [エリアスのあらすじ] [曲目解説] [練習日誌]

メンデルスゾーンについて

JAKOB LUDWIG FELIX MENDELSSOHN-BARTHORDY (1809-1847)
「今年はメンデルスゾーン没後150年」

富裕なユダヤ人銀行家の家に生まれ、 才能にも家族の愛にも教養的にも恵まれて 育ったメンデルスゾーンは、作曲家としては珍しく(失礼!)終世、経済的に 恵まれていた。作曲家としてだけでなく、ピアニスト、指揮、オーケストラの育成 、音楽大学の創設、研究家(バッハ「マタイ受難曲」の復活上演、シューベルト「グレート」 の初演を行った)と幅広い活動で知られている為か38才の短命で亡くなったのは 非常に意外な気がする。35才で亡くなったモーツァルトは、その短命さを誰もが 知っているのに。今年1997年はメンデルスゾーン没後150年の記念の年。
今年はシューベルト、ブラームスの生誕200年、没後100年 の記念の年で、多くの企画が知られているが、メンデルスゾーンに関しては意外と目立たない。 モーツァルトの様に生前が不遇だったり浮き名を流した事がないため いささか人となりにドラマティックさを欠くのは確かであるが(芸術家は生前ビンボー でないといけない!?)指揮者を1つの職業として確立定着させることにも功績 があったメンデルスゾーンが大きく取り上げらないのは少々寂しい。都内のオケの 1つ位は「メンデルスゾーン交響曲チクルス」なんて企画があってもいい。
外国では、とりわけメンデルスゾーンが育成に尽力をそそいだ ゲバントハウスオーケストラ の本拠地のライプチヒではどうか?調べてみた。
「あった!」 メンデルスゾーンフェスティバルでは没後150年に際し多くのコンサートが予定 されている。ホームページはこちら

《ライプツィヒ フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ 音楽祭》

97年10月31日から11月4日まで 会場:ゲヴァントハウス
月日 開演演目
10.31 20:00 オープニングコンサート クルト・マズア指揮ゲヴァントハウス・オーケストラ
メンデルスゾーンの作品
11.01 20:00 ヘルベルト・ブロムシュテット指揮北ドイツ放送交響楽団・合唱団
オラトリオ「パウルス」
11.02 11:00 (小ホール)京都ゲヴァントハウス合唱団
メンデルスゾーン、ブラームス、日本の合唱曲
11.02 20:00 ロルフ・ロイター指揮「フェリックス・メンデルスゾーン・バルトルディ」
ライプツィヒ音楽大学オーケストラ・合唱団
ソフォクレスの劇のための付随音楽「アンティゴネ」
11.03 20:00 ハインリッヒ・シフ指揮イスラエル室内オーケストラ
メンデルスゾーン、モーツァルトの作品
11.04 20:00 クルト・マズア指揮ゲヴァントハウス・オーケストラ、バーミンガム市合唱団
オラトリオ「エリアス」英語上演

フェスティバルのフィナーレは「エリアス」(75,-/60,-/45,- DM !)で飾られる。この時期ドイツに行かれる 方は足をのばされるといいでしょう。
ライプツィヒでは、1835年から亡くなる1847年 までメンデルスゾーンが暮らした家が改装され、11月4日にメンデルスゾーン記念館 として公開される。聞く所によるとかなり老朽化していたものの再建費用では苦労したとの事。 ライプツィヒ市から450万マルク、日本からの300万マルクの寄付を拠出し、昨年工事に着手した。 (寄付の運動は数年前からあった事を覚えている) 前ゲヴァントハウス管首席指揮者マズア氏が記念館のためのチャリティーコンサートも今年 の5月に行われている。 生前は経済的に恵まれていたメンデルスゾーンとしては寂しい皮肉な状況であったが、 記念の年に無事完成する運びとなって良かった。きっと天国でほっとしているのはないかな。

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オラトリオ「エリアス」のものがたり

 今から2900年ほど前の紀元前9世紀、イスラエルの国は隣接する 強いアッシリアをおそれて、裕福なフェニキアと同盟を結んだ。イス ラエル国王アハプは、フェニキアより王女イゼベルを妃に迎え、両 国の関係強化をはかった。ところが、この政略結婚がイスラエル王国 に異教の神バールをもたらすことになった。
 当時、イスラエルの人々はエホバの神を信仰していたが、王妃イ ゼペルは偶象を崇拝する邪教バールの熱狂的な信仰者だった。偶 像崇拝は、イスラエルの神のもっとも忌み嫌うものである。さらに彼女 は、フェニキアから多くのバールの祭司をつれてきた。
 国王アハプは妃イゼペルの心をエホバ信仰にむかわせるどころ か、王みずからバール神殿を建て女神像を拝むなど、バールを熱裂 にあがめるようになる。そして、イスラエルの民衆にもバール信仰を強 要し、エホバの神に忠実なイスラエルの人々は、つざつぎに命を奪 われていった。
 こうしたアハプとイゼペルの行いは、それまでのどの王よりも主の 怒りを招き、イスラエル全土は不幸な歳月をむかえることになる。  オラリトリオ「エリアス」のものがたりは、ここから始まる。

第1部
 ある日、ひとりの男が王アバプの前に現われて預言する。「イスラエ ルの神エホバは生きている。これからの数年は雨は降らず、露も 降らないだろう」
 男の名はエリアスといった。エリアスとは、ヘプライ語で「エホバは 神なり」という意味を持っている。彼はその名を示すとおり、エホバ 信仰をまもってきた遊牧民で、邪教バール信仰に心を奪われている アバプ王に警告できるただひとりの預言者だった。
 預言のとおり、雨は降らず、作物は実らなかった、だが、イスラエル の民衆の呪はエリアスに向けられる、彼は難を避けてケリテ川の 河畔に身を隠すが、そこで息絶えた子供をエホバに祈り捧げて生き 返らせるという奇跡をおこなう。
 預言から3年たったある日、エリアスばふたたびアハプ王の前に現 れる、そして、真の神がエホバかバールかを決めるため、バールの

預言者たちとの対決を求める。山の項きに祭壇を築き、火を降らせ て犠牲の牛を焼いたほうが真の神とみとめることとする。バールの 預言者たちがいくらバールの名を呼んでも火は現れなかった。しか し、エリアスがエホバに祈ると、天から火が降り、犠牲を焼きつくす。
 勝負に勝ったエリアスは、バールの預言者たちをすべて捕え、殺 してしまう。
 こうして神の怒りは解け、エリアスと民衆の祈りに、ついに雨が降 りだす。

第2部
 エリアスは、アハプ王に「バールの神をあがめるという不義をなし たので、イスラエルは見拾てられる」と、ふたたび預言する。これを聞 いた王妃イゼベルは、「エリアスがバールの預言者たちを殺したため 飢饉がおこるのだ。彼を殺せ。」と民衆を扇動する。
 王妃の迫害をおそれたエリアスは、エホバをあがめる王臣オバ ディアの忠告にしたがって、荒れ地にのがれる。「主よ、もう私の魂を お召しください。これ以上、生きたくはありません」と嘆くエリアスを、 天使たちが取りかこみ、慰め励ましながら、彼を神の山ホレプに導く。
 夜、ホレプの山中で神に祈るエリアスに、天使はエホバが通ると 告げる。エホバ(「風が吹く」という意味)は、その名のとおり激 しい暴風と地震と劫火のなかに現われるのだが、そのなかにエホバ はいなかった、ところが火のあとの静かなざわめきのなかに、神が出 現する。
 「バールを崇拝しないものが7000人残っている」という神のお告げ に勇気づけられて、エリアスはバール崇拝者たちを迫放し、イスラエ ルを真の神エホバの神とする大事業をなしとげたのである。  そして、最後の日がやってきた。突然、火の馬にひかれた火の車 が現われ、エリアスを乗せると、嵐のなかを天に向かってのぼって いった。
 こうして、イスラエルはふたたびエホバをあがめるようになり、救世 主キリストの出現を待つことになる。エリアスは、来るべき日を迎える 前につかわされた預言者だったのである。

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曲目解説

メンデルスゾーン最晩年の作品。生来、経済的にも家族にも恵まれていたメンデルスゾーン であったが、晩年は妹(ファニー・メンデルスゾーンは当時有名なピアニスト。作曲も行い いくつかの作品が現在残されている。)の死去、人種的なハンディ(*)による悩み等により、 決して強くない精神状態であったらしい。そんな中、旧約聖書の物語に基づくこの作品 の作曲の中で、再び「若い日々のほとばしり」を取り戻していったと思える。遠い先祖の 物語に思いをはせていたのであろうか。
(*)父の代にキリスト教に改宗、プロテスタント派に属した。

初演は1846年8月26日、英国バーミンガム。作曲者自らの指揮による。 初演前には数度のピアノリハーサル、オーケストラリハーサル(8月23日、125人のオーケストラ、271人 のコーラス)を行い、バーミンガム音楽祭にて演奏された。結果は大成功。
ドイツ帰国後、本人は改訂を計画していたが、周囲の「これ以上この曲を美しくするのか」という 意見から行わなかった。死の一ヶ月前にはドイツ語版が初演されている。
(以上、8/19「エリアス講座」菊池氏の講演内容から)

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練習日誌

執筆者も執筆間隔も不定の日誌です。雰囲気が伝われば、めでたしめでたし。。

10/5(日)

本日は通し練習(筆者は出られませんでした。以下伝聞)

郡司氏より
「(言葉および音取りで)努力をしただけオーケストラのいろいろな音が聞こえて演奏会が面白くなります。まだ、努力をしていない人、今のうちにして下さい。」

一度エリアスの演奏をオケに集中して聴いた事がある。全体として よどみなく音楽が流れているので気づかかったが、管楽器は各パート で結構いろんな仕掛けがしてある。また、いつくかのナンバーで弦楽器は シーケンスフレーズをずっと流しているが、ある時は 16分で、ある所は4分3連だったり、6連だったりと多くの変化に気づく。 何個所かあるオケの全休止も曲にインパクトを与えている。
メンデルスゾーンは画才もあったようで、いくつかの作品が残っている らしい。音でも絵でも巧みな表現力を持っていたんだろうと納得できる。 彼が長生きしたとしたら晩年にはどんな作風になっていただろう?と ふと思った。上記「」中の言葉にうなずいた次第。

9/19(土)

「エリアス講座」
本日は大矢氏(Alt)菊池氏(Bass) を講師に「エリアス」に関するレクチャーが開かれました。 多くの方が出席されました。歌詞中の文言では現れない背景や理解しづらい部分 についてわかりやすい解説をして下さり、理解が深まったと思います。両講師に感謝。

講義の主な内容は以下の通りでした。

  1. イスラエル史概観(出エジプト記〜エリアスの舞台まで)
  2. エリアスの主要登場人物(アハブ王、イゼベル王妃、エリヤ)
  3. ヤハウェ神、バアル神の対比
  4. 新約聖書との関連
  5. メンデルスゾーンとオラトリオ「エリアス」 ([曲目解説] 参考)
1-4:大矢氏、5:菊池氏

当日の内容は簡単にまとめてこのページに掲載しようと思っています。また、 練習参加されている方は、当日のレジュメが当日参加された方全員に配布されていますので 入手してご覧ください。

8/16(土)

何と、直子先生は今日の朝、ザルツから帰国した ばかり。タフですねえ・・・他にも何人か、同じスケジュールで 帰国したばかりで練習に来ている人もいました。 皆さん練習熱心です。

さすがに夏休み真っ盛り、加えてザルツ遠征中の方々も 多く、少し人数が少なかったよう。テノールは4人だった、 確か;;

8/9(土)

男性の練習時間帯がちょうど東京湾の花火と重なっていて、 「久々に日本の花火が見られると思っていたのに・・・」と ヨーロッパ留学帰りの先生は、とっても残念そう。 (でも、花火は強風のため中止)

8/2(土)

10番。11番。12番。13番。16番。

  • 13番
  • リエゾンする箇所が増えました。
    "Gib un
    s Antwort"のsとAがリエゾンします。
    [gi: pun sant vort]となるわけですね。

    センセいわく、「言葉の意味の上から見ると、ヘンなんだけれど、 Antwortの出が遅れるのを防ぎたいので、取り敢えず今は」とのこと。

    7/26(土)

    今日は最初に立ち戻って、1、5、9番の練習。 物語の始まりですからドラマティックな表現が要求されるようです。
    それにつけても(ジェットストリームのオープニング風に言えば) 「9番のメロディーの何と美しい事!」 by城 達也。
    メンデルスゾーンは19世紀前半最大のメロディーメーカーと呼んでいいん じゃないかな。
    今こんなコンポーザーがいるか?う〜ん、お!美しいメロディーラインも ドラマティックな部分のアレンジも上手い アンドリュー・ロイド・ウェッバー(英国)はまさに「現代のメンデルスゾーン!」。
    10番のレチタティーボの第1,2小節のコード進行(Eb->Ab on Eb->F on Eb->Eb)は、 ミュージカル「キャッツ」のフィナーレのナンバー”猫にご挨拶”に数度 出てきます(Bb->Cm on Bb->Bb とか Bb->Eb on Bb->Bb)。 キャッツのサントラお持ちの方、一度お聞き下さい。この2曲の雰囲気は似ています。

    でも、メンデルスゾーンは自身もプレーヤーであり、マタイ復活上演 するという名プロデューサーでもあったからデヴィッド・フォスターの方が近いかな?
    なんてことを考えながら最後のハイGを出したら、声がひっくり返ってしまって先生と 目が合ってしまった。皆さん、
    練習中は集中しましょう。(Tenor)

    7/19(土)

    ***練習した曲***(ページは練習開始時に販売されたテキスト)

  • 22番
  • 前半カット。練習番号Fの12小節目(TempoIの3小節前。 120ページ一番下の段)から歌います。
  • 24番
  • 1小節から練習番号Bの9小節目(133ページ3小節目)へ飛びます。 バス−テノール−ソプラノの順に「Wehe ihm...」とフーガに なるところです。
  • 25番と27番
  • カットです。

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