ハンス・ヨアヒム・ロッチュ


1929年ライプツィヒで生まれる。国内外でソリストとして活躍する一方で、72年聖トーマス教会合唱団の音楽監督に就任。ヨハン・セバスティアン・バッハから2世紀半後のトーマス教会カントールである。以来数々の業績は世界各地の音楽ファンを魅了し続けている。67年旧ドイツ民主共和国芸術賞、76年ドイツ国家賞を受賞。85年大阪での『マタイ受難曲』演奏で最優秀ライヴコンサートとして朝日放送賞を受賞。91年聖トーマス教会音楽監督を惜しまれながら辞任、以来ザルツブルグ・モーツァルテウムにて客員教授を務めた。
1997年4月9日、ハンス=ヨアヒム・ロッチュさんは、ゆったりと成田に降り立ってきました。長旅の疲れも見せず、柔和な温顔をほころばせながら・・。この日から4週間、ロッチュさんはその人柄と音楽性で私たちをとりこにし、また多くのものを残して、5月7日に帰国の途につかれました。
ヨハン・セバスティアン・バッハから2世紀半後のトーマス教会カントールは、そのキャリアを誇ることもなく、私たちに接してくれました。練習では、ときに冗談をまじえながら、またみずから歌ってみせ、バッハの心をしめしました。
演奏会では、バッハのもつ豊かさをあますところなく、からだいっぱいに表現しました。私たちは、ロッチュさんの温かさにふれました。東西ドイツの統一のなかで、おそらく、いやな思いや苦しみを味わったにちがいないのに、それらのかけらさえ、私たちは感じることがありませんでした。
〜「ロッチュさんとの対話」より


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